アノテーションとは?AI研究に欠かせない要素について詳しく解説!

AI研究について耳にしたことがある人なら、一度は「アノテーション」という言葉を耳にしたことがあると思います。注釈や注解を意味するこの言葉は、ビッグデータ活用するために欠かせない要素として、幅広い業界で注目されています。この記事では、アノテーションとは何か、その重要性や活用事例などを解説します。AIがトレンドワードとなる昨今において、ぜひキャッチアップしておくべき内容となります!

アノテーションとは?

アノテーションとは、文書や画像などに対して、追加の情報を付与することを指します。特に、文書に対しては、文章の一部に対してタグ付けを行い、それによって文章の意味をより明確にすることを目的としています。

この結びつけは、様々な用途で使用されており、特に、機械学習や自然言語処理などの技術において重要な役割を担うことが多いです。

例えば、機械学習においては、文章のアノテーションによって、文章の意味をより正確に理解することができ、それによって、自然言語処理におけるタスク(文章の要約、意味の抽出など)をより正確に実現することができます。

また、画像に対して結びつけを行うことで、画像内に写っている物体や人物などを識別することができ、それによって画像検索などの利用が可能になります。

AIにおけるアノテーション

AIに知的なタスクを行わせるためには、アノテーション済みのデータを使ってAIを訓練することが必要です。AIができることが増える背景には、アノテーションのプロセスが必ず存在します。スマートフォンやAIスピーカーで使用される”Hey Siri”や”OK, Google”のような音声認識、意図抽出、自動運転、eコマースで使用されるサジェスト機能、医療や建設業界での活用など、AIが普及している分野でアノテーションの市場もますます拡大しています。

プログラミングにおけるアノテーション

プログラミングにおいてアノテーションとは、プログラムのコードに付け加えられるメタデータのことです。これは、コードを読む人や、コンパイラやインタープリターなどのプログラムによって参照されることで、コードの意味や動作を補足するために使用されます。アノテーションは、プログラムに対して追加の情報を提供するために使用され、プログラマーがコードを書く際に、そのコードが何に使用されるかなどを他の人に共有するために書く注釈のこともアノテーションと呼ばれます。

YouTubeにおけるアノテーション

YouTubeにおいてアノテーションとは、動画に対して追加の情報を提供するために使用される機能です。この結びつけは、動画の最後に画面に重なって表示される、他の動画のリンクや登録ボタンなどを指します。これらの結びつけは、動画を見ている人にとって有益な情報を提供し、動画の視聴者が他の動画を見たり、チャンネルを登録したりすることを促します。

 AI開発においてアノテーションはどういう位置づけにあるのか?

 AI開発におけるアノテーションはどういう位置づけにあるのでしょうか?

なぜ必要なのか、どのようなステップにおいて重要となるか、詳細を解説していきます。

アノテーションは教師データを作っている

教師データとは、機械学習のアルゴリズムが学習するために使用するデータのことです。アノテーションを使用することで、教師データに対して、追加の情報を付加することができます。例えば、画像認識タスクの場合、画像に対して物体の位置や種類を結びつけ、それを教師データとして機械学習のアルゴリズムに入力することで、アルゴリズムが物体を認識するように学習することができます。

つまりAI開発においては、アノテーションとは人工知能が学習をしていくプロセスのなかで、「正解」を覚えるための教師役をしているということになります。

教師データを使った機械学習の仕組み

ひとつ分かりやすい例で考えてみましょう。

例えば、AIに「リンゴ」の写真を見せ、「これは何ですか?」という質問と、「これはリンゴです」という答えを人間が教えます。同じような写真を大量に何度も見せるとします。するとAIはどんどん「リンゴ」を覚えるようになり、写真を見せ「これは何ですか?」と聞いた時に「これはリンゴです」「これはリンゴではありません」という答えの正解率が上がっていきます。

この例では、「これは何ですか?」という問題と「これはリンゴです」という解答の情報を画像データにひとつひとつ付加する作業がアノテーションです。この作業は手作業で行われ、情報が付加されたら、そのデータは結果として機械学習に利用されることになる教師データとなります。人間と同じように、AIも学習すれば、正解率は上がります。AIの精度を高めるには、大量の教師データが必要になります。

 AIの発展に連動するアノテーションの需要

アノテーションの需要は昨今ますます高まっていると言えます。

アノテーションの需要が上昇している理由には、ビッグデータやAI活用サービスの増加が挙げられます。この結びつけによってデータにタグやメタデータを付加することで、特定の意味を持たせることができ、これは、多様なデータを集計し分析する上で欠かせない作業であると言えます。最新の市場動向を見ると、この結びつけに関連した市場はますます活性化していることがわかります。

 AI技術の開発にはアノテーションが欠かせない!

AIは大量のデータから特定の法則や特徴を見つけ出し、それを元にして、将来データを予測したり、未知のデータに対して回答することができます。そのためには、正しく学習させるためには大量のデータ(数百万、数千万など)が必要であり、そのデータに適切なタグ付けを行うことが重要です。これがアノテーションと呼ばれます。この結びつけは機械学習において「教師あり学習」を可能にするデータ作成であり、タグ付けされたデータは教師データと呼ばれます。そして、AIの学習精度はこの結びつけの品質によって決まることになります。

AI開発において、アノテーションは例えば以下のような非常に重要な役割を担うことが多いです。

1.データの整理: AIは大量のデータから学習をするため、結びつけを行うことで、データをカテゴライズし、整理することができる。

2.学習データの作成: AIは学習データを元に学習を行うため、結びつけを行うことで、学習データを作成しAIに学習させることができる。

3.精度の向上: アノテーションを行うことで、学習データの質が向上し、AIの予測精度が向上することができる。

このように、アノテーションの重要性とその精度やスピードに未来への期待がかかっていることは明らかです。

ビッグデータの必要性と今後ますます需要の高まるアノテーション

ビッグデータは、様々な形式や種類を含んだ巨大なデータの集合で、構造化や定型化されておらずリアルタイムに生成されるデータを指します。これは幅広い技術やソフトウェア、サービスが関わるテーマであり、近年ビジネスシーンではデジタルトランスフォーメーション(DX)という視点で多くの企業の注目を集めています。

IT専門調査会社IDC Japanが2019年に発表した『国内ビッグデータ/アナリティクスソフトウェア市場予測』によれば、2018年の市場規模は2,778億7,500万円で、前年比9.6%の成長があった。DXの取り組みが大企業を中心に活発で、市場規模は2023年まで年間平均成長率8.5%で成長し、2022年には4,000億円を超えると予測されています。

なぜビッグデータの取り扱いが今までは難しかったのか?

ビッグデータは、大量のデータを取り扱うことが特長で、取り扱いが難しい理由は次のようになります。

1.データ量が巨大: ビッグデータは、数十TBから数PBに及ぶ巨大なデータ量を取り扱う必要があり、これを扱うためには、高性能なハードウェアやソフトウェアを使用する必要がある。

2.データの多様性: ビッグデータは、様々な形式や種類のデータを取り扱う必要があり、それらを統合することは非常に困難。

3.高速な処理が必要: ビッグデータを取り扱うための高速処理が可能なマシンが必要。

上記のようにビッグデータの活用には、データを正確かつ迅速に処理するための仕組みが必要です。IoTなどの環境設備からデータを収集し、処理技術の進化により、それらのデータを解析することができます。その中で、アノテーションは重要な役割を担うことになります。この結びつけにより、データが何を示しているのかを認識することができるため、実践的なデータ活用をする上で欠かすことはできません。

アノテーションの具体的な種類

アノテーションには具体的にどのような種類のものがあるのでしょうか?

用途別に詳しく見ていきましょう!

画像のアノテーション

画像アノテーションは、画像データに対して、文字やタグを付けることによって、画像のコンテンツを概括的に説明する手法です。これは、画像認識やオブジェクト検出において、教師データとして使用するために必要なタスクです。

画像アノテーションには様々なタイプがあり、バウンディングボックスの結びつけ、セグメンテーションの結びつけ、クラス分類の結びつけなどがあります。

バウンディングボックスの結びつけは、画像中の特定のオブジェクトを囲む矩形を描画し、その矩形に対してクラス分類タグを付けることです。セグメンテーションの結びつけは、画像中の特定のオブジェクトや領域を色分けし、それぞれに対してクラス分類タグを付けることです。クラス分類の結びつけは、画像全体に対して一つのクラス分類タグを付けることで、画像のテーマを概括することができます。

画像アノテーションは、画像認識やオブジェクト検出の性能を向上させるために重要であり、自動化された手法や人手によるアノテーションの両方が使用されています。

音声のアノテーション

音声アノテーションは、音声データに対して、文字やタグを付けることによって、音声のコンテンツを概括的に説明する手法です。これは、音声認識や自然言語処理において、教師データとして使用するために必要なタスクです。

音声の結びつけには様々なタイプがあり、トランスクリプトの結びつけ、トピックの結びつけ、情報抽出の結びつけなどがあります。

トランスクリプトの結びつけは、音声データを文字に変換し、音声中の話者、内容、発話内容などを記録することです。トピックの結びつけは、音声のトピックや主題を抽出することで、音声のテーマを概括することができます。情報抽出の結びつけは、音声から特定の情報を抽出することで、音声の中に含まれる重要な情報を特定することができます。

音声アノテーションは、音声認識や自然言語処理の性能を向上させるために重要であり、自動化された手法や人手によるアノテーションの両方が使用されています。

単語にアノテーションする場合

意味的アノテーションとは、文中の単語に対して意味付けを行うアノテーションのことです。人名や商品名などを対象にします。この結びつけは、検索エンジンの改善や、チャットボットの学習などに活用されています。具体的には、検索エンジンの改善においては、文中の単語の意味を理解し、関連性を改善するために使用されます。また、チャットボットの学習においては、人間との円滑なコミュニケーションを行うために、文中の単語の意味を理解することが重要であり、そのために意味的アノテーションを使用することがあります。

アノテーションを利用できるサービス

アノテーションを利用できるサービスにはどのようなものがあるのでしょうか?

サービス別に詳しく見ていきましょう!

Accurately

Accuratelyアノテーションは、機械学習や深層学習のためのアノテーションサービスです。画像、テキスト、音声など様々なタイプのデータに対応しています。特に、画像アノテーションにおいては物体検出、セマンティックセグメンテーション、インスタンスセグメンテーションなど多様なタスクに対応しています。AIによる自動アノテーションを提供するだけでなく、人手によるアノテーションも提供しているため、高精度なアノテーションを実現します。​​

FastLabel

FastLabelアノテーションは、画像アノテーションサービスの一種です。画像認識のためのアノテーションを行うことができます。このサービスは、画像中に存在する物体の検出や領域の抽出、分類などのタスクに対応しています。人手による結びつけを行うため、高精度な結びつけを実現します。また、APIを提供しているため、他のシステムとの連携も可能です。画像認識や機械学習などのアプリケーション開発において使用されることが多いです。​​

harBest

harBestは、AI・人工知能開発において、手間と時間のかかる学習データ作成を低コストかつ高品質にするためのプラットフォームであり、これによってAI開発とビジネス効果の測定までを完結することができます。このプラットフォームは、コーディングの知識がなくても使用することができることが特徴です。​​

TASUKI

TASUKIは人工知能を使ってデータ作成を自動化し、迅速かつ均一なクオリティのデータを提供します。ウェブサイト上で発注手続きをすることができ、顧客の回答内容に基づいて自動的にマニュアルを生成し、顧客の負担を軽減します。チャット機能を使って、顧客とスタッフがリアルタイムでコミュニケーションを取ることができ、アジャイル型の開発にも対応できます。また、汎用性が高い既存のデータセットの販売も行っており、AIの開発期間を短縮し、より効率的にAIの開発を支援します。

ここまでアノテーションについて解説してきました。

人工知能やAI開発について調べている方は、今後の参考にしてみてください!