データドリブンマーケティングとは?メリットや注意点と有効活用できるツールを解説

データの重要性が高まる現代では、マーケティングでもデータを積極的に活用することが多いです。

データドリブンマーケティングは、データ主導のマーケティングであるため、時代の流れに沿ったマーケティング施策を考えるうえで概要やメリットなどを知っておく必要があります。

データドリブンマーケティングとは

データドリブンマーケティングとは、顧客の行動属性や成果などのデータを読み取り、マーケティング施策を考える手法です。データが存在した状態で、マーケティング施策を考えることが軸としておこなわれます。

データを利用したマーケティングは、目的があってデータを収集しますが、データドリブンマーケティングは逆です。データを分析して目的を見出します。そのため、先入観なく効果的なマーケティング施策を見出せます。

データドリブンマーケティングの進め方

データドリブンマーケティングは、プロセスに特徴があるため、施策の進め方を解説します。

  1. データの収集
  2. データの可視化
  3. データの分析
  4. マーケティング施策の立案

データの収集

データドリブンマーケティングは、データありきのマーケティング施策であるため、さまざまなデータを収集することから始まります。

収集するデータは、特定のものではなく、幅広い種類のデータを取集することが重要です。

データの種類はさまざまありますが、以下のようなデータが考えられます。

  • 過去に顧客が購入した履歴(購入頻度・購入回数・購入額など)
  • 顧客の購買シナリオ(認知方法・認知から購入までの期間・認知の変化など)
  • 顧客満足度(アンケート結果・評価・レビューなど)
  • リピート率(リピート頻度・リピート時の購入数リピート時の購入額など)
  • 顧客属性(年齢・社会的地位・家族構成・住んでいる場所など)

そのほかにも、顧客に関するデータをさまざま収集します。

ある程度の仮説を持ったうえでのデータ収集の方が効率的ではありますが、先入観なくマーケティング施策を考えることが重要であるため、仮説を意識しすぎずにデータを収集します。

データの加工・可視化

データを収集しただけでは、利用できる形でないため、データを加工して可視化します。データの可視化は、最もリソースを必要とするフェーズであることが多いです。売り込もうとしている商品やサービスによっては、膨大なデータ量になると考えられます。

データの収集方法によって、形式などが異なるため、それぞれのデータを一元管理できる形に加工する必要があります。さらに、データを分析しやすいように整理することも必要です。

データを可視化する場合、統計学の観点からおこなうことができることが理想ですが、多くの場合で難しいです。そのため、MA(マーケティング・オートメーション)ツールやWEB解析ツールなどを利用して、データを可視化します。

ツールを活用することにより、データのグラフ化や顧客行動のスコア化などがおこなえます。

データの分析

データの加工・可視化がおこなわれたあとは、それぞれのデータを確認して気づきなどをピックアップします。個々のデータを分析したり、横断的に分析したりします。

ピックアップした内容から派生させたテーマから、さらに分析をおこなうことを繰り返しおこなうことが重要です。データの分析でえられることが多ければ多いほど、質の良いマーケティング戦略の立案ができます。

しかし、データ量が少ないなどでデータから特徴を見出せない場合は、あらかじめテーマを決めてデータの分析をおこないます。

マーケティング施策の立案

データを分析した結果からマーケティング施策の立案をします。顧客データを見出されたマーケティング施策であるため、多くの場合はニーズに沿ったものを立案できます。

データの分析結果は、マーケティングチームや部署内で結果を共有できれば、多くのアイディアを生み出せることが多いです。

データ主導によるデータドリブンマーケティングのメリット

データドリブンマーケティングはデータ主導のマーケティングであることにより、顧客のニーズを満たすことにつながるさまざまなメリットがあります。

  • セグメント化により具体的な仮説が立てやすい
  • 成果につながる施策をパターン化できる
  • 需要の予測が可能
  • スムーズに社内連携できる

セグメント化により具体的な仮説が立てやすい

データの収集とデータの可視化などで、セグメント化された顧客情報を利用するため、具体的に仮説を立てて効果的なマーケティング施策の立案が可能です。

購入履歴や購買行動などのデータは、顧客のイメージを固める重要な要素であるため、ゼロの状態で仮説を考えるよりも具体的です。データの内容によっては、顧客の心理状態まで具体的に把握できます。

成果につながる施策をパターン化できる

顧客データが多ければ多いほど、もしくはデータドリブンマーケティングで立案された施策が蓄積されればされるほど、成果につながりやすい施策のパターン化が可能です。

特定の市場についてのデータは、蓄積されればされるほどパターン化されるため、成果があがりやすいマーケティング施策を生み出せばさまざまな施策に引用できます。

データ主導であることによる大きなメリットであると考えられます。

需要の予測が可能

顧客データを可視化した状態で分析するため、ある程度の需要の予測が可能です。

データの分析からえられた要素からさまざまな仮説を立て、決定づける要因を見出すことにより、精度高く需要の予測ができます。予測の範疇を超えることはできないですが、参考データが増えることは確かです。

スムーズに社内連携できる

データ主導であるため、分析結果やマーケティング施策などを社内で連携する際、スムーズにおこなえます。

データドリブンマーケティングにより見出された意見やアイディアは、何もない状態での意見やアイディアとは異なり、裏付けにデータがあるため説得力のあるコミュニケーションがおこなえます。

データドリブンマーケティングの注意点

データドリブンマーケティングを導入する際、注意しないとならない内容があるため、解説します。

アイディア主導である内容の排除につながりやすい

データドリブンマーケティングとは逆の考え方である、デマンドドリブンマーケティングがあります。デマンドドリブンマーケティングは、アイディア主導でマーケティング施策を考えます。

全てのマーケティングをデータ主導でおこなえば効果的であるという考え方は良いことではありません。データからマーケティング施策を考える場合、アイディアからマーケティング施策を考える場合など、状況によって使い分けることが重要です。

例えば、収集できるデータが限定的である場合や市場が成熟していない場合は、データドリブンマーケティングよりもデマンドドリブンマーケティングの方が効果的であることもあります。

マーケティング施策を考える出発地点が異なるため、併用することは難しいですが、使い分けることが重要です。

質の悪いデータの見極めが重要

データは収集方法や分析方法を誤れば、データに惑わされることがあります。データを多く取集すると、外れ値もしくは異常値のような、他とは異なるデータも収集します。それらのデータは、参考であることもありますが意味のないデータであることが多いです。

外れ値や異常値に注目したマーケティング施策は、顧客のニーズにそれることが多いため、データとして利用しないという判断が必要です。そのため、データの見極めが重要です。

外れ値や異常値の判断は、データを可視化した際におこないます。

データドリブンマーケティングを成功させるために必要なこと

データドリブンマーケティングを成功させるために必要なことを解説します。

  • データに左右されない軸をもつ
  • データを活かすスピード感を維持
  • ツールの有効活用

データに左右されない軸をもつ

データドリブンマーケティングはデータ主導であるため、データに全て従うということ考えを抱きやすいですが、事業の根源となる考えや理念は常に軸として持ち続けることが重要です。

データを有効活用することが重要ですが、全ての決定権を持っているわけではありません。

例えば、データから見たら正しい判断であっても、企業のブランディングとしては正しくない判断である場合は、データを見直すということも必要です。

データで全てを決定するのではなく、有効活用してください。

データを活かすスピード感を維持

データは収集から利用するまでのタイムラグが小さければ小さいほどよく、タイムラグが大きいとデータの価値が下がります。そのため、スピード感を維持してデータを利用することが重要です。

データの分析や可視化などは、多くのリソースが発生するため、計画的に短期間でおこなう取り組みが必要です。また、組織の連携もなるべくスムーズである方がいいため、データドリブンマーケティングの導入前に組織内での意識改革も必要であればおこなってください。

データを扱ううえで、スピード感を維持することは重要です。

ツールの有効活用

データの分析を全て人力でおこなうと、膨大な時間が必要であるため、MAツールやWEB解析ツールを効果的に使用してください。これらのツールを利用することにより、時間の短縮だけでなく、データをより先入観なく見られます。

後述しますが、データドリブンマーケティングに役立つツールはさまざまあるため、組織の体制にあったツールを積極的に使ってください。

データドリブンマーケティングで有効活用できるツール

データドリブンマーケティングは、デジタルテクノロジーの利用が不可欠です。AI(人工知能)やデータ分析ツールなどを利用することにより、質の高いデータ分析をおこなえます。

データドリブンマーケティングで有効活用できるツールを紹介します。

  • MA(マーケティングオートメーション)ツール
  • WEB解析ツール
  • CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)

MA(マーケティングオートメーション)ツール

MAツールはマーケティングで必要なタスクの多くを自動化するツールです。顧客管理やスコアリング、顧客属性に応じたプロモーションなどを自動でおこないます。

顧客管理からマーケティングまで自動化できるため、注目されているツールです。

WEB解析ツール

WEB解説ツールは、自社サイトにアクセスしたユーザーの行動などをデータとして可視化・分析するツールです。

WEBマーケティングの際に、必須であるツールであるため、WEBサイトを運用してデータを収集する場合は必ず使用してください。GoogleAnalyticsなどの無料ツールが利用できます。

CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)

顧客の氏名と購買履歴、コミュニケーション履歴などを紐付けて管理するツールです。セグメント別で購入単価を抽出したり、顧客分析をしたりするツールです。

MAツールと用途が重なる部分があるため、使い分けが必要です。

データドリブンマーケティングについてよくある質問(Q&A)

データドリブンマーケティングを導入する際によくある質問にいて解説するので、確認をしてください。

Q:データドリブンマーケティングとは?

データドリブンマーケティングとは、データ主導でおこなわれるマーケティングです。

アイディアや予測からマーケティング施策を考えるのではなく、データ収集から始まり、データにもとづいてマーケティング施策を立案します。

Q:データドリブンマーケティングは何から始めたらよいですか?

データを収集して活用するまでのスピード感が重要であるため、データドリブンマーケティングをおこなうことを組織で共有することから始めてください。データ主導でスムーズに施策の立案ができる環境に整えます。

環境が整ってからは、さまざまな方法で顧客データを収集します。

データドリブンマーケティングの重要性は?

データドリブンマーケティングをおこなうことよりも、データを利用することが重要です。

顧客のニーズは時代の流れと共に変化します。そのため、マーケティング担当者の価値観やアイディアが顧客ニーズと一致しない可能性があります。

時代の流れが早い現代では、データをもとに顧客ニーズを把握し、マーケティング施策を立案できる環境を整えることが重要です。

データドリブンマーケティングの目的は?

顧客のニーズからそれたマーケティングをおこなわないことが目的です。また、データは人間の感情で結果が変わることがないため、客観視したマーケティング施策を考えられます。

データドリブンマーケティングの課題は?

データの分析や可視化の質が担当者の能力に依存しやすいことが課題です。そのような課題を解決するために、さまざまなツールを利用しますが、ツールを利用する担当者の教育も必要です。

まとめ

顧客ニーズの変化が激しい現代では、データ主導でマーケティング施策を考えることがとても重要です。そのため、データドリブンマーケティングのような、データ主導のマーケティングを活用しつつ、顧客のニーズにこたえる必要があります。

データドリブンマーケティング導入するための、環境を整えることから始めてください。