日常生活でPRという言葉を聞くことがありますが、PRにはさまざまな目的のもとおこなわれ、おこなう対象と良好な関係を保つためにおこなわれます。
PRの理解が適切であれば、効果的な広報活動につなげられます。
PRとは?
PRとは、Public Relations（パブリックリレーションズ）の略称で、企業や団体が社会全体に対しておこなう広報活動であり、さまざまなステークホルダーと適切な関係性を築くためにおこなわれます。
企業や団体のイメージ向上や製品・サービスの認知度向上、顧客獲得やブランディングなどのためにおこなわれる活動全般のことをPRといわれることが多いです。
PRのメリット
PRをおこなうことによるメリットはさまざまありますが、主には以下のとおりです。
| メリット | 概要 |
| ブランディング | 企業や団体の信頼性や価値を伝え、ポジティブなイメージを持たせられる |
| 商品やサービスの認知促進 | 新製品や新サービスを発信する際、魅力を消費者へ伝えられる |
| 競合他社との差別化 | 他社との違いなど、差別化されるポイントで訴求し、市場のポジショニングを優位にする。 |
| 社会的責任の訴求 | さまざまな立場の人に、社会的責任を果たすイメージを訴求できる |
多くの人に認知されることを軸とし、内容によってさまざまあります。
企業の利益のためにPRする場合、認知されることを軸に、商品やサービスの訴求ポイントを伝えることが多いです。その他の団体のPRは、認知されることを軸に、活動内容や団体の存在意義などの訴求ポイントを伝えます。
PRの種類と目的・活動
PRにはさまざまな目的があるため、いくつかの種類があると考えられます。
- 企業PR
- 商品・サービスPR
- 地方自治体・その他団体PR
それぞれの内容について詳しく解説します。
企業PRの目的と活動方法
企業PRは、主に企業のブランディングのためにおこなわれる広報活動です。
企業PRの目的
経営者の考え方、事業内容などを発信して消費者ニーズに基づいたPRをおこなうことで、企業のファンを増やします。
企業のイメージ向上や認知度向上、存在価値を伝えるなどさまざまな目的でおこなわれ、最終的には企業利益のためにおこなわれることが多いです。
企業PRの活動
企業PRのためにおこなわれる活動方法はさまざまありますが、主な方法は以下のとおりです。
- プレスリリースやメディアでの露出
- イベントやセミナーの開催
- SNSの利用
- 広告やさまざまなマーケティング活動
事業内容や商品やサービスの内容について解説する内容を上記のような活動方法で拡散し、企業の認知を促します。事業内容やターゲット層などから、活動方法を考え、効果的に企業を認知してもらうための活動をおこないます。
近年ではSNSの普及により、リアルタイムで事業に関する情報を発信したり、顧客とコミュニケーションを頻繁にはかったりなどの活動をおこなう企業は多いです。
商品・サービスPRの目的と活動
認知や顧客獲得のためにおこなわれるとともに、企業のブランディングにつながることも多いです。
商品・サービスPRの目的
商品・サービスPRの目的は、商品やサービスを多くの消費者に利用してもらうために、以下の目的でおこなわれることが多いです。
- 商品やサービスの魅力をアピール
- 認知の拡大
- 顧客とのコミュニケーション
商品やサービスの魅力をアピールすることで、消費者の関心を引き、商品を選ぶ際の一つの判断材料を提供します。多くの消費者に認知されることで、成果につながりやすく、顧客の獲得が可能です。
また、新商品や新サービスを定期的にPRすることにより顧客とコミュニケーションがはかられるため、顧客を優良顧客へ育成できることも少ないケースではありません。
商品・サービスPRの活動
前述の目的を達成するために、SNSの利用や広告、イベント開催などのさまざまなマーケティングをおこないます。
市場やターゲットによって適切な活動方法は異なり、顧客データをもとにおこなうことが重要です。
地方自治体・その他団体PRの目的と活動方法
地方自治体・その他団体PRは、主に地域や団体の魅力や取り組みをアピールし、その価値を広く知ってもらうためにおこなわれます。
地方自治体・その他団体PRの目的
具体的には以下のような目的があります。
- 地域・団体の魅力をアピールすること
- 認知度向上
- コミュニケーションの場を確保
- 政策や施策の認知
地方自治体やその他団体の魅力をアピールすることで、観光客や新規住民、企業誘致でき、認知度を向上させます。
また、活動をとおしてコミュニケーションを図る機会を増やせるため、住民や企業と密な関係を築くことも可能です。
それぞれの目的を果たす過程で、政策や施策などの具体的なアピールをおこないます。
地方自治体・その他団体PRの活動
広報誌やポスター、SNSを活用することが多いです。そのほかにも、定期的なイベントやセミナーなど、さまざまなアプローチをおこないます。
また、予算が限られていることが多いため、低コストでおこなえる活動方法を積極的におこなう傾向があります。
PRにおけるステークホルダーについて
PRはさまざまなステークホルダーとの関係構築のためにおこなわれることが多く、そのことにより、成果をあげられます。
ステークホルダーとは、企業や団体の活動や経営に影響があると考えられる、利害関係者のことです。ステークホルダーには、以下のような関係者が考えられます。
| 顧客・消費者 | 企業や団体の商品やサービス、情報を利用する人 |
| 株主・投資家・金融機関 | 企業や団体の株式を保有する人や、投資をおこなう人 |
| 従業員 | 企業や団体で活動する人や労働組合 |
| メディア | 新聞・テレビ・ラジオ・インターネットなどで情報を発信するメディア |
| 行政機関 | 国や地方自治体、規制当局など |
| 地域住民 | 企業や団体が拠点とする地域の住民 |
これらのステークホルダーは企業の事業や団体の活動に関心を持っており、PRの結果に大きく影響することが多いです。そのため、これらのステークホルダーの関心や要望を理解し、適切な情報提供やコミュニケーションをおこなう必要があります。
企業や団体は、ステークホルダーの期待に応えることで、事業や活動としての価値を向上させます。
マーケティングとしておこなわれる戦略PR
商品やサービスを販売するためのマーケティングとしておこなわれ戦略PRについて解説します。
戦略PRとは
戦略PRとは、消費者自身が買う理由を見つけるための気づきを提供することです。
昨今ではさまざまな広告やプロモーションによって商品が認知され、販売につなげる方法が主流ですが、情報量の急増によりスタンダードなPRだけでは消費者の関心を引くことは難しいです。
戦略PRでは広告で直接商品やサービスを訴求するのだけでなく、消費者に商品やサービスのさまざまな視点でのイメージを与え、広告がより効果的に届くようにする手法が用いられます。
例えば、社会問題と関係している内容を含めたPRをおこなうことにより、多くのメディアで取り上げられ、認知や消費者の行動を促すことも可能です。
戦略PRは、商品やサービスのイメージを消費者へ提供するため、とても難しいです。しかし、成功すれば絶大な効果を発揮し、大きな成果につながります。
戦略PRの必要性
戦略PRは、さまざまなステークホルダーに価値の認知を促すためにおこなう情報発信のことであり、ブランドイメージの形成と強化につながります。昨今のような情報が多い社会で、的確に情報を発信し、商品やサービス内容を消費者に認知されるために重要です。
戦略PRでは、イメージを提供するという抽象的な内容を含むため、効果測定を積極的におこなう必要があります。本当に訴求したいものとの関係が浅すぎるマーケティングをおこない、消費者へ訴求できないという事態が起きることも少なくありません。
戦略PRはマーケティングの一環として、計測や分析を繰り返します。
PRのために利用されるツールや活動
PRのために利用されるツールについて紹介します。以下のようなツールが利用されることが多いです。
- プレスリリース
- 動画発信プラットフォーム
- SNS
- WEB広告
- 紙媒体
- イベント・セミナー
それぞれのツールや活動がどのように利用するのかを解説します。
プレスリリース
プレスリリースは、企業が自社の情報を公式に発表する文章のことであり、メディアに注目されることで、認知を拡大させます。
企業は新製品やサービスなどの認知拡大の際、プレスリリースを作成し、メディアが記事やニュースとして報道します。
そのため、プレスリリースはPRの目的を果たすために効果的です。
動画発信プラットフォーム
動画発信プラットフォームで企業PR動画や商品・サービス紹介動画を発信することにより、幅広い層への認知を促せます。視覚的なアプローチをおこなえるため、さまざまな効果をもたらします。
昨今では、商品やサービスを利用する顧客や活動内容に共感する人など、企業や団体に所属する人以外が発信するPR動画が注目されています。インフルエンサーの起用や顧客が発信している動画を企業や団体がSNSなどで取り上げることなどです。
SNS
SNSの普及により、SNSを利用したPRは必要不可欠です。
例えば、TwitterやInstagramで利用できる独自のハッシュタグを作成し、さまざまな投稿に付与します。SNSを利用する多くのユーザーに認知され、企業・団体、商品・サービスなどに興味を持ってもらうきっかけづくりが可能です。
そのほかにも、SNSの各プラットフォームの仕様を活かしてPRできます。
WEB広告
WEB広告とは、検索エンジンやWEBサイトで表示されている広告のことです。
さまざまな種類があるため、用途に応じて使いわけしますが、リスティング広告やディスプレイ広告などが多く使われています。
WEB広告はユーザーのネット上での検索行動から、興味がありそうな広告を表示させられるため、適切なターゲティングのもとでPRできます。
紙媒体
紙媒体には、チラシやパンフレット、ポスターなどさまざまあります。しかし、制作コストと制作時間が多く要することや急な変更に対応しづらいこと、効果測定が難しいです。
昨今では紙媒体でPRするよりも、SNSやWEB広告など、ネット上でPRする方が効果的であることが多いです。
イベント・セミナー
企業・団体や商品・サービスなどの魅力を伝える方法として、イベントやセミナーなどを開催することも考えられます。
イベントやセミナーを開催することにより、多くの人に認知してもらえたり、顧客や支援者とコミュニケーションがはかれたりなどの成果に直結しやすいです。
しかし、多くのリソースを要するため、入念に計画をすることが重要です。
効果的なPRを実施するために重要なステップ
やみくもにプレスリリースの作成やWEB広告などをおこなえば、効果的なPRをおこなえる訳ではありません。基本的なステップを理解したうえでおこなう必要があります。
- 現状分析
- 目的を明確にする
- ターゲティングとチャネル選択
- 創価測定の準備
それぞれの基本的なステップを踏まえてPRをおこないます。それぞれの内容について解説します。
現状分析
PRをする前の状況確認や市場調査、競合調査をおこないます。
効果的にPRするために必要な要素や市場の状況を分析し、企業・団体や商品・サービスなどの強みや弱点などをピックアップしてください。
目的の明確にする
現状分析によって浮かびあがった内容をもとに、目的を明確にし、部署内外に周知します。目的に応じて組織内の連携をしてください。
PRはステークホルダーとの関係構築が軸であるため、組織内での連携は不可欠です。
ターゲティングとチャネル選択
PRを実施することにより、取り込みたいターゲットはどのような層なのかを選定します。また、その層を取り込むために必要なチャネルを選択します。
ターゲティングとチャネル選択で内容の多くは決定します。
効果測定の準備
PRは最適な方法にブラッシュアップしていく必要があるため、実施と効果測定を繰り返します。そのため、効果測定を適切におこなえる方法を考え、準備します。
インターネットを介してPRをおこなう場合は、MA（マーケティングオートメーション）ツールやCRM（顧客管理ツール）などを利用すると、タスク少なく管理可能です。
PRについてよくある質問(Q&A)
PRについてよくある質問について解説します。
Q:PRの特徴は？
PRは企業・団体や商品・サービスなどが持つ価値を、効果的にさまざまなステークホルダーに伝えることです。そのため、どのような目的・方法も顧客や関係者とのコミュニケーションは不可欠です。
Q:PRのデメリットは？
PRをおこなうためには一定以上のリソースが必要であることと、効果が確約されていないことなどが考えられます。
そのため、リソース少なくおこなえる活動を考えることから始まります。
Q:PRとマーケティングの違いは？
PRは企業・団体の価値の向上や認知拡大、マーケティングは売上アップや顧客満足度の向上です。そのため、マーケティングのためにPRをおこなうため、包含関係であると考えられます。
Q:PRの大切さとは？
企業・団体は支援する顧客や関係者と適切な関係を保たなければ、成果をあげられません。そのため、さまざまな方法でPRをおこなうことはとても大切です。
Q: PRのコストはどのくらいかかる？
コストは、方法によって大きく異なります。そのため、適正価格を確認するための調査は必要です。また、コストをかけることと成果は必ずしも比例するわけでないため、効果的な方法を考ええる必要があります。
まとめ
PRはさまざまなステークホルダーと適切な関係を保つためにおこなわれます。
そのため、PRをおこなう目的を明確にし、ターゲットの属性に応じた方法を実施します。PRが成果に直結しないことや長期的な視点でおこなう必要がある場合もあり、効果測定をおこなうことが重要です。
一定以上のリソースが発生するため、入念な計画のもとおこなってください。