インリード広告とは?他の広告との違いや効果を出すためのポイントなど解説

動画広告の中でも、WEBサイトのコンテンツに溶け込ませて配信するタイプの広告があることをご存じですか。それがインリード広告です。

そこで今回は、インリード広告の基本から成果を出すためのポイントなどについて詳しく解説します。

インリード広告とは

インリード広告は動画広告の一種です。動画広告にはインストリーム型とアウトストリーム型に分かれます。インリード広告は、アウトストリーム型の動画広告に分類されます。

インストリーム広告とアウトストリーム広告の違い

インストリーム型の動画広告は、YouTubeやTVer、Abemaなどが代表格です。コンテンツ動画の前や途中で動画広告が表示されますが、このことをインストリーム型と呼んでいます。

一方、アウトストリーム型は、メインコンテンツの間に挟む動画広告です。例えばニュースサイトの記事の間に動画広告を表示させたりします。インリード広告はこのアウトストリーム型の広告の1つです。

インバナー広告との違い

インリード広告に類似した動画広告にはインバナー広告というものがあります。インバナー広告はインリード広告と同じくアウトストリーム型です。

インバナー広告はWEBサイトのディスプレイ枠で表示される広告です。WEBメディアによって独自のサイズで表示されます。基本的に音声はオフで、ユーザーがサイトに訪問した直後かマウスのカーソルを動画にあわせると動画広告が自動再生されるのが特徴です。

一方、インリード広告の場合、コンテンツに溶け込ませる形で動画広告を表示させています。そのため、ユーザーが画面をスクロールして動画広告の箇所に到達するまで、再生されることがありません。

このようにインバナー広告とインリード広告とでは、表示される場所と再生ポイントが異なります。

ネイティブ広告との違い

インリード広告と類似したものとしてネイティブ広告があります。ネイティブ広告は、インリード広告を含む概念で、コンテンツに溶け込ませる広告全般のことを指しています。

ネイティブ広告にはインリード広告以外にも、インフィード広告やペイドサーチ型広告、レコメンドウィジェット型広告などがあります。

インリード広告が注目される理由

近年インリード広告が注目を集めていますが、これには下記の理由があります。

5G通信システムの普及

5Gとは、第5世代移動通信システムのことです。従来の4Gは、通信速度が下り1Gbps、上り数百Mbsでした。5Gでは4Gの20倍以上の通信速度を実現することができます。そして、2022年3月末時点で5Gの人口カバー率は93.2%に達しています。

このようにスマートフォンにおいても、動画コンテンツなどを滞りなく配信できる下地が整ってきたことで、インリード広告が注目を浴びる理由となっています。

ユーザーの広告離れ

多くの広告が配信されるにつれ、ユーザーの中には不快感を持つ人も出てきました。広告カットツールを使ったり、動画広告をスキップするなどのことが頻発しています。

一方、インリード広告はコンテンツに埋め込む形で配信をおこなうため、自然な形でユーザーに視聴してもらえます。従来のプッシュ型広告とは違って、ユーザーと親和性が高いことが注目される理由の1つです。

潜在顧客にリーチできる

これまでペイドサーチ広告などでは、既に自社の商品名等を知っているユーザーのみにしかリーチすることができませんでした。

しかし、インリード広告は自社の業界や商品について知らない潜在顧客にリーチすることができます。このように、リーチする裾野を広げ顧客の数を大幅に増やせる見込みが高いため、インリード広告が注目されています。

インリード広告のメリット

さまざまな広告がある中で、インリード広告にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここではそのポイントをお伝えします。

自然にコンバージョンしてもらえる

インリード広告の最大のメリットの1つは、広告らしくないという点です。例えば、バナー広告などは最初から顧客に購入の訴求をするものが多いですが、インリード広告は異なります。WEBサイトのコンテンツに溶け込ませ、魅力的な映像や役立つ情報を伝えます。このように顧客のコンテンツを知りたいという欲求にうまく応えながら、コンバージョンに導くという自然な形をとっています。

拡散する可能性がある

インリード広告では、広告がコンテンツのように顧客に提供されるため内容が良ければ拡散につながる可能性があります。もし拡散につながれば、広告費以上の効果を得ることができます。

インリード広告の効果を高めるポイント

インリード広告を出稿するうえで、ポイントや注意点を挙げておきます。

目的を明確にする

自社でインリード広告を配信する際、事前に目的を決めておきます。考えられる目的としては次の3つがあります。

  • WEBサイトのブランド向上
  • リード獲得
  • 購入促進

WEBサイトのブランディングというのは、WEBサイト自体やWEBサイトで販売している商品・サービスの認知度を上げることです。

リード獲得は、メールアドレスなどの収集を目指します。購入促進というのは、動画広告からECサイトなどに誘導しアクセスを増やすことで購入につなげることです。

インリード広告の場合、基本的には、リード獲得や購入促進に向いているといわれていますが、自社のWEBマーケティングの課題を洗い出し、それにそった目的を設定してください。

予算を決める

インリード広告を出稿する際には、予算と目標のバランスを考える必要があります。自社の設定した目標を達成するためには、どこまで予算を割くことができるのか事前に確認しておきます。

ターゲットを設定

どういったターゲットを対象にインリード広告を配信するのかを決めます。自社の商品やサービスを購入したり、興味を持ってくれそうなセグメントを見据え、広告配信の設定をおこないます。

業界や扱っている商品のコンセプトなどによっても異なりますが、ターゲティングを行わなければ、無駄な広告費が発生してしまいます。

広告出稿の際のセグメント設定は大きく分けると2つのパターンになります。1つは顧客嗜好性です。これはユーザーの趣味や興味を元にした分類方法です。

もう1つは顧客属性です。顧客属性は年齢・学歴・年収・住居所在地・性別などによって分類する方法です。

例えば自社が東京で中古車販売を経営しているという場合、下記のようにターゲティングすることが考えられます。

  • 東京都在住で20歳以上
  • 車のカスタムやパーツなどに興味を持っている

上記は一例ですが、ターゲティングはできる限り具体的に設定してください。

適切にCTAを設置する

インリード広告で忘れてはならないのがCTAです。折角、ユーザーの興味関心を動画で引きつけても、次のアクション方法を明示していなければ、そこで行動がストップしてしまいます。インリード広告終了後に適切なリンクを表示させるようにしてください。

広告にリンクさせるページの選定

広告から誘導するサイトがWEBサイトのトップページで良いのか、それともキャンペーン用に制作したページにアクセスさせるのかなどを判断します。インリード広告を見たユーザーに何をアピールするのかによって判断が異なります。

例えば、ブランドの認知向上であればトップページが好ましいという判断ですし、特定の商品を販売したい場合は専用ページを用意する必要があります。

また、商品ページに誘導するとしても、WEBページで案内する商品は1種類の方が良いのか、それとも複数の種類が良いのかなど、自社の目的やビジネスモデルによって異なります。

ランディングページと動画の整合性を確認

インリード広告で訴求した内容と、その後ユーザーがアクセスするページとの整合性を保つ必要があります。

例えば、動画である1つの商品を紹介したのであれば、ランディングページではその商品のみを表示した方が、ユーザー体験が好ましいです。動画の内容とランディングページを比較して、整合性が保たれていることを確認してください。

音声がなくても伝わるような内容にする

インリード広告は通常、音声がオフの状態で再生されます。そのため、音声がなくてもユーザーに内容が伝わるように動画広告をつくります。テロップやわかりやすいイメージ映像を使用するようにしてください。

クオリティの高い動画は外注を検討

自社で動画制作をしても良いのですが、クオリティの高いものをつくるには外注した方が確実です。

特に、ユーザーに最後まで視聴してもらう動画をつくるには、さまざまなポイントを踏まえなければいけません。そのため、動画広告をつくり慣れた専門家に依頼することを検討してください。

適切な配信プラットフォームを選ぶ

質の高いクリエイティブをつくったとしても、配信プラットフォームを間違えてしまえば、効果は下がります。自社のターゲット層が多いと思われる媒体を選択して配信するようにしてください。

例えば、Facebookでは30-40代が中心で、ビジネスパーソンが使用していることが多いです。一方、Twitterの場合、20代が8割近くを占めており主な利用目的が趣味や時間つぶしになることが多いです。

こういった各媒体の特性を踏まえ、自社商品との相性を確認して配信してください。

動画内容や設定を最適化する

インリード広告は、一度配信すればそれで完了というわけではありません。その後、費用対効果を確認しつつ動画を改善したり、広告設定を調整する必要があります。

とりわけ、ターゲット設定は費用対効果に大きく影響するため、広告配信の結果とよく照らし合わせて調整する必要があります。

広告代理店を検討

インリード広告を運用する担当者が自社にいる場合は必要ありませんが、人材が不足している場合は広告代理店を検討します。広告代理店は、自社の目的に応じて出稿するメディアの選定、プランの立案、広告枠の確保などに対応してくれます。

広告代理店がインリード広告に対応しているかも確認してください。大中小とさまざまな代理店がありますが、会社ごとに得意な広告種別や必要な予算、契約形態が異なっています。

インリード広告の指標

インリード広告を出稿した場合、次の3つの指標に注目してください。この指標を元に、広告設定やターゲティングの調整などをおこないます。

  • CPA
  • CPV
  • CPCV
  • リーチ

CPA

CPAはCostPerAcquisitionの略で顧客獲得単価という意味です。顧客を1人獲得するために必要となったコストです。

例えば、インリード広告でメールマガジンの読者を獲得することを目指しているとします。

広告費を10万円だし、登録者数が20人であればCPAは5,000円です。ビジネス全体を見渡したとき、このCPAの価格で帳尻が合うようにしなければいけません。

CPVとCPCV

CPVは、Cost Per Viewの略で動画が再生された回数あたりのコストを示します。リスティング広告のクリック単価に該当するものです。インリード広告は動画のため、CPCではなくCPVと表示されます。

CPCVはCost Per Completed Viewの略で、動画が最後まで再生された回数あたりのコストを指します。広告媒体の課金方式が動画を最後まで視聴した場合に課金するという仕組みを採用している場合、このCPCVを確認します。

CPVで課金されるのかCPCVで課金されるのかは、広告媒体や設定により異なります。

リーチ

広告を最大でどれだけの人に見てもらえるかという指標です。このリーチ数が少ない場合は、ターゲットを広げることを検討します。

インリード広告を出稿する場合、上記の指標を確認しつつ広告効果を検証してください。

インリード広告が出稿できる媒体

2023年1月現在、インリード広告の出稿先としては次のような媒体が対象になります。

Teads

Teadsは2011年にフランスで創業したアウトストリーム広告のパイオニアです。世界中で、毎月最大19億人以上にリーチすることが可能です。通常の追跡型広告と違ってクッキーに頼らず、ユーザーをターゲティングできるように配慮されています。課金は再生が完了した分のみの支払いとなるため、無駄な費用が発生しにくい構造になっています。

Yahoo!広告

Yahoo!広告でも、Yahoo!ニュース内などにインリード広告を配信することが可能です。幅広いユーザーに対してリーチできますし、比較的多くのWEB担当者が慣れているYahoo!広告のアカウント画面内で管理できます。

まとめ

今回は、インリード広告についてお伝えしました。プッシュ型広告とは違って、コンテンツ内に溶け込ませて配信することができる広告ですので、ユーザーとの親和性がとても高いのが特徴です。

5G通信が普及した今、インリード広告を開始するには最適なタイミングではないでしょうか。ぜひ、今回の記事を参考に自社でインリード広告に取り組んでみてください。