スコアリングは、見込み顧客を属性と行動で点数化し、アプローチの優先順位を決める手法です。
MAツールを活用することで、比較的容易にスコアリングでき、効果的な営業活動がおこなえます。
スコアリングとは
マーケティングにおけるスコアリングとは、リードスコアリングのことであり、見込み顧客(リード)や既存顧客の行動やユーザー属性に基づいて数値評価することです。
商品・サービスや企業への関心度など、収益につながると考えられる数値を算出し、適切なタイミングでアプローチします。
例えば、ある企業がWEBサイトにお試し商品・サービスを取り寄せるフォームを設置したとすると、見込み顧客がフォームに入力した情報に基づいてポイントを割り当てられます。
見込み顧客の年齢や職業などの情報をスコアリングのポイントとして加算することや、過去の購買履歴などを参照してポイントとして加算することも一般的な方法です。
このようなスコアリングによって、優先してアプローチすべき見込み顧客の絞り込みがおこなえます。
スコアリングはリードクオリフィケーションで用いられる
マーケティングでは、リードジェネレーション・リードナーチャリング・リードクオリフィケーションという3段階のプロセスを経て、アプローチすべき見込み顧客を抽出します。
- リードジェネレーション:広告やセミナーなどで見込み顧客を開拓
- リードナーチャリング: 開拓した見込み客との関係性を築いて、見込み度合いを高める
- リードクオリフィケーション: 見込み客を適切な基準に基づいて絞り込み、営業対象を特定する
スコアリングはリードクオリフィケーションの段階で用いられ、営業対象を特定するために活用します。
質の高いリードクオリフィケーションをおこない、効率的な営業活動をするために重要です。
スコアリングではMAツールを使う
関心度の高い顧客を抽出するために不可欠ですが、見込み客の情報を一つ一つ評価するのは困難です。そのため、MAツールを使用したスコアリングが一般的です。
MAツールは、見込み顧客の情報を蓄積・分析をおこない、さまざまなマーケティング活動を自動化する機能を多く搭載しています。例えば、セミナー参加者に自動でお礼メールを送信する機能や行動データを一元管理する機能などが搭載されています。
MAツールも利用することで、顧客一人一人のスコアリングの自動化も可能です。
スコアリングのメリット
メリットについて詳しく解説します。
- 部門間で数値ベースの連携が可能
- 顧客リストを持て余すことなく活用可能
- 効果測定・分析をおこないやすい
以上のメリットについて解説します。
部門間で数値ベースの連携が可能
最大のメリットは、部門間でスムーズな連携が可能であり、数値ベースで連携できることです。
数値ベースであるため、質の高いマーケティング戦略を見出しやすいです。ま部門間で連携しているため、見込み顧客へ部門ごとに必要以上のアプローチをおこなうことを防止し、見込み客と良好な関係を築けます
顧客リストを持て余すことなく活用可能
スコアリングすることで、過去にセミナーに参加した顧客や休眠状態の顧客などから成果をあげられる可能性がうまれます。
歴史のある企業では、成果につながらなかった見込み顧客や休眠顧客が多く存在します。それらの情報は貴重なデータです。スコアリングをおこなうことで、蓄積されたデータを有効活用できます。
効果測定・分析をおこないやすい
スコアリングにより顧客を数値評価することで、効果測定や分析をおこないやすいです。
えられた評価は、マーケティングや営業施策の改善にもつなげられます。
さまざまなマーケティング施策を担当者のノウハウや勘、経験頼りにするのではなく、客観的に判断できる数値を利用することはとても重要です。
スコアリング項目について
評価項目について解説します。項目は属性と行動に分けて設定します。参考までにご確認ください。
属性による評価項目
スコアリングの評価項目は、ターゲットとする企業や個人によって異なりますが、以下のような評価項目が考えられます。
評価項目は、企業や業界によって異なる場合がありますが、一般的には以下のような項目があります。
企業情報
- 業界
- 従業員数
- 資本金
- 年商
- 競合他社
- 所在地
顧客情報
- 役職・部署
- 年齢・性別
- 職務経験
- 職位
- 居住区
そのほかにも、評価項目として考えられる属性はありますが、以上のような項目が一派的な例です。
行動による評価項目
行動によるスコアリング項目は、顧客の行動全てが評価対象ですが、以下のような項目が一般的です。
- 資料請求
- 過去の購買行動
- メルマガ登録状況
- セミナー参加
- ホームページ閲覧
- 過去の契約締結までの時間
行動による項目も以上の内容以外にも考えられ、市場やターゲット、ペルソナによって評価項目を設定してください。
スコアリングの導入手順
スコアリングは以下の手順で導入します。
- ペルソナの設定
- 顧客行動のピックアップ・基準値の設定
- 顧客行動の配点
- 関連部署と連携
- 運用開始・継続的な改善
それぞれの手順について詳しく解説します。
1.ペルソナの設定
対象の商品・サービスの内容から、ペルソナを設定してください。
年齢や性別、職業などからペルソナを設定することで、スコアリングの精度を向上させます。
例えば、オンライン英会話サービスの成約率を向上させるためにスコアリングをおこなう場合、以下のようにターゲットやペルソナを設定します。
- 20代~40代の社会人男女
- TOEICに教務を持つ方
- 海外旅行が好きな方
- 外資系企業での勤務経験がある方
- 英語力が上がるとキャリアアップにつながると考えている方
ペルソナを具体的に設定することで、顧客の抱える課題やニーズを把握しやすく、スコアリングの精度が向上します。
2.重要な顧客行動のピックアップ・基準値の設定
過去の成約データを分析し、顧客が購入までにどのような行動をとるかを明確にします。購入までの行動を可視化し、評価基準に反映させてください。
例えば、無料トライアルを利用した場合の成約率が高い場合は、無料トライアルを利用する顧客行動は重要な要素であると考えられます。
過去の成約データから、顧客行動を分析し、成約率の高い顧客行動が基準値であると考えられます。
3.顧客行動の配点
過去の顧客分析の結果と成約までの行動から、成約率の高い行動に高得点を設定します。前述しているように、顧客属性と顧客行動の2つの視点で評価されることが多いです。
基準値を上回る評価をえた見込み顧客は、優先的にアプローチするべき顧客として、営業活動を集中的におこないます。
4.関連部署と連携
スコアリングにおける評価基準や配点、運用について、関連部署と連携します。
評価結果を効果的に活用するために関係部署と連携し、客観的な視点でチェックされることで、スコアリングの質を向上できます。
5.運用開始・継続的な改善
スコアリングの内容が決定されたら、運用を開始します。しかし、内容は一度設定すれば良いわけではありません。
市場は変化し続け、消費者の価値観や行動も常に変化します。一度設定したスコアリングを永久に使い続けると、時代に合わない状況に陥る可能性があります。
スコアリングの基準が正しく機能しているかを確認するため、定期的にチェックすることが重要です。
営業部門からのフィードバックを収集し、現状を確認しつつ運用方法を改善することが重要です。
スコアリングの注意点
スコアリングをおこなう際、注意すべき内容について解説します。
スコアリング対象が膨大な数になりやすい
成約率を高めるために、見込み顧客を多く抽出しすぎて、スコアリングをおこなう対象が膨大な数になってしまうことが多いです。そのような場合は、見込み顧客はある程度限定する必要がります。
メルマガ登録者やセミナー参加者、WEBサイトへアクセスした人など、顧客行動としてスコアリングで高く評価されそうな顧客に限定することが重要です。
スコアリングを信じすぎてしまう
評価が高ければ、一定の信頼度で成約率が高いと考えられますが、信じすぎてはいけません。顧客の行動基準は人によって異なり、えられるスコアも必ずしも正確であるとは限りません。
スコアリングの結果を信じすぎず、他の要素と照らし合わせてマーケティングにおける判断をしてください。
スコアリングで活用するMAツールの選び方
スコアリングをおこなう際のMAツールの選び方について解説します。
MAツールをえらポイントは以下の3つです。
- 使いやすさ・他のツールとの互換性
- 利用料金
- サポート体制
使いやすさ
MAツールはさまざまなタスクを減らすためのツールであるため、使いやすいツールであるかが重要です。
例えば、シンプルで直感的な操作性が可能なユーザーインターフェースであることや求める機能が網羅されていることなどが重要です。
また、すでに導入しているツールとの互換性などを配慮することにより、さまざまな機能を効果的に利用できます。
利用料金
MAツールの導入には費用がかかります。そのため、費用対効果を高められる内容であるかなどの判断のもと、MAツールを選んでください。
ツールによっては無料トライアルを提供しているので、有効活用することも考えられます。
サポート体制
MAツールを選ぶ際、サポート体制が整っているかはとても重要です。
ツールの導入前から運用中まで、丁寧なサポートを提供するツールを選ぶことで、ツールの効果を最大限に引き出せます。
ツールの機能や料金だけでなく、サポート体制についても確認をしてください。
スコアリングについてよくある質問(Q&A)
スコアリングに関するよくある質問について解説します。
- スコアリングとは何?
- スコアリングはどうやっておこなう?
- スコアリングを導入するにはどのくらいの費用がかかる?
- スコアリングを活用して営業活動を改善するにはどのような取り組みが必要?
- スコアリングの精度はどの程度保証される?
Q:スコアリングとは何?
見込み顧客(リード)を属性情報や行動情報によって数値化し、アプローチする顧客の優先度を決定します。見込み顧客へアプローチするための、最終段階でおこなわれることが多いです。
Q:スコアリングはどうやっておこなう?
スコアリングは、特定の基準に従って、見込み顧客や既存顧客に対して数値評価します。評価項目は、成約を促す商品・サービス内容やターゲット、ペルソナを考慮して設定します。
スコアリング導入後も継続して評価内容を見直すことが重要です。
Q:スコアリングを導入するにはどのくらいの費用がかかる?
スコアリングで発生する費用の多くは、MAツールの導入・運用費用です。
そのため、導入するMAツールの種類や機能、導入規模によって必要な費用は異なります。そのほかに、スコアリングのためのデータ整備やデータ分析にかかる費用が必要な場合もあります。
スコアリングのみであれば、一般的に数十万円から数百万円の費用が必要なケースが多いです。
Q:スコアリングを活用して営業活動を改善するにはどのような取り組みが必要?
スコアリングの結果を営業活動に活かすには、以下のような取り組みが必要です。
- スコアリングの結果を分析
- スコアリングの精度を向上させるための改善
- スコアリングと営業活動の連携の改善
スコアリングの結果を分析し、優先的にアプローチすべき顧客を抽出後は、営業活動をおこないながら、スコアリングの精度の改善や営業活動との連携改善の方法を考えことが重要です。
Q;スコアリングの精度はどの程度保証される?
前述しているとおり、スコアリングの結果を信じすぎることはよくありません。
スコアリングの精度は、使用するデータの品質や項目の設定などによって大きく異なりますが、継続的に改善・分析をおこなうことで精度が向上します。
まとめ
スコアリングでは、見込み顧客を数値評価し、優先的にアプローチする見込み顧客を抽出することで営業活動の効率化が可能です。
スコアリングの評価基準は、継続的に改善することで適正なスコアリングがおこなえ、見込み客により高い価値を提供できます。